結婚している女性が外に出て仕事をする場合、夫の扶養の範囲内で働きたいという人が大多数を占めます。なぜ夫の扶養の範囲内で働きたいのかという理由を知れば、フルタイムで働いている人も納得できるかもしれません。
求人の募集を見ていると、扶養範囲内で働けますとか、扶養範囲内勤務でOKといった文言が目に留まります。この扶養範囲内とはどういう意味かというと、配偶者がいることによって税金が安くなる仕組みである扶養控除を理解する必要があります。
配偶者を持つ人が働いている場合、配偶者控除が受けられる仕組みになっていることから、所得税と住民税の控除を受けることができます。たいていは夫が働き、妻が夫の配偶者控除の対象となっているため、妻は健康保険や介護保険、さらに年金掛け金などの社会保険料も支払う必要がありません。
夫が代わりに支払っているという人もいますが、免除されているというのが正解です。
夫に扶養されているという妻は、まったく収入がない専業主婦だけかと思いきや、そうではありません。扶養されているために、税金、社会保険料の支払いが免除されているとはいえ、働くことが禁止されているわけではないからです。
ただ、収入によっては扶養控除の対象外になるため、先に述べたように求人募集の際に扶養の範囲内で働けるかどうかを気にする人がでてくるというわけです。年収で103万円を超えると、所得税を支払うことになり、手取りが減ってしまいます。
また、130万円を超えると社会保険料を支払うことになりますので、さらに収入が減ってしまいます。そのため、どちらも支払って最終的に103万円になるよりは、オーバーしないように働いて103万円を得た方が得という考え方になるのも、無理はありません。
薬剤師の場合、アルバイトでも高時給が当たり前です。時給2000円というところも珍しくありませんので、一年間を52週間として考えた場合、一週間当たり2万円の収入があると103万円をオーバーしてしまいます。
2000円の時給であれば10時間ということになりますので、1週間に10時間は非常に少ない労働時間です。そのため、週に2日、1日5時間勤務といった程度で働くことになるでしょう。高い時給が得られるのはうれしいことですが、配偶者の扶養控除の範囲内から出ないようにするためには、かなりしっかり計算して働く必要がありそうです。
時給850円の人からすればうらやましい話ですが、薬剤師資格を持つ人であれば、もっとも時給の低いアルバイトで働くにしても、要注意事項になります。