医療機関の調剤部や調剤薬局で勤務する薬のエキスパートは、お薬の調剤を中心とした業務を行っています。調剤は、医師の処方箋の指示通りにお薬を調剤するのが基本ですが、専門的な薬学の知識を生かして監査などもする必要があります。調剤における具体的な業務に関する解説をしましょう。
お薬の調剤には、様々な作業を伴います。錠剤であれば、基本的には錠剤の数を数えて用意すれば大丈夫です。なお、粉砕の指示が出ている場合、錠剤を粉砕する作業が求められます。
粉状のお薬や外用薬については、細かな指示に従って準備を進めるため、用意をするのにそれなりに時間が必要です。粉状の薬に関しては、お薬の一回分ごとの服用量を正しく計量して、袋に分包する作業を行います。錠剤や粉薬に一包化の指示が出ている場合、1回分の服用量をひとつの袋にまとめる一包化と称される作業をすることが不可欠です。
患者さんができる限り服用しやすい状態にするために出されている指示ですので、丁寧に指示を読んで、指示に従って調剤をする精確さが、薬剤師には強く求められます。
調剤が済んだ薬は、調剤担当者以外の薬学の専門家が最終監査を実施します。最終監査は、調剤した薬が処方箋通りにきちんと準備できているかを確認するための作業です。
処方箋だけでなく、患者さんに手渡す薬袋や薬剤情報提供書に記された内容に誤りがないかも含めて、入念にチェック作業が進められます。調剤薬監査においては、迅速にかつ丁寧に監査を行い、お薬を求める患者さんを長時間お待たせしないよう注意を払うことが重要です。
決して焦ることなく、かつ精確性の高い調剤薬監査作業ができるようになれば、調剤薬局で活躍できる薬のスペシャリストになれるでしょう。
調剤薬局は、患者さんにお薬を渡したら仕事が終わりというわけではありません。薬歴と称されるお薬の服用履歴に、処方された薬の情報や説明内容を追加し、記録保存する作業を行います。次の来局時の申し送り事項などがあれば、伝達事項も含めて記録に残しておくのがおすすめです。
毎回同じ薬剤師が同じ患者さんの対応をできるとは限らないため、申し送り事項を分かりやすく記しておくことは、患者さんの健康管理をする上できわめて重要です。初めて服用するお薬での副作用が心配される患者さんに対しては、副作用に関する質問をする対応がスムーズに行える体制を整えて、安全性の高い服薬指導ができる薬局を目指してください。