薬剤師として数年仕事をすれば、学生時代に描いた抽象的な理想を、現実的な目標に引き直す作業が必要です。具体性や実現可能性のない理想では、プロのキャリアビジョンとは呼べません。しかし、自分が目指すべき理想を見つけることができない場合もあります。そんな時は、ロールモデルを見つけることが有効な方法になります。ロールモデルは規範になる人のことで、自分もあの人のようになりたいと思える人を見つけるということです。
誰をロールモデルに選ぶのかは難しい問題ですが、立場が同じ人に限定して考える必要はありません。極端に言えば、薬剤の専門家としての理想ではなく社会人としての理想なら、薬剤師以外の人をロールモデルに選ぶことも可能です。
同業者から選んだ方が自分を重ねやすくなるので、見習いやすいというメリットはあります。一般的には、上司や先輩を選ぶことが多いですが、同期を選べば負けたくないという意識と重なって、強い刺激を受けながら見習うことができます。
ロールモデルは、相手の立場にこだわる必要がないだけでなく、直接接点がある人から選ぶ必要もありません。一つ一つの業務への取り組み方や周囲の人との接し方など、具体的な面を参考にしたいなら周囲の人から選ぶべきですが、生き方に憧れを持っている人を選ぶのなら、直接の接点は不要です。
生き方に対する姿勢を見習うためのロールモデルなら、歴史上の人物でも構いません。
ロールモデルを一人に絞り込む必要はなく、複数の人を選んでも問題ありません。生き方を学ぶ相手には歴史上の人物を選んで、仕事に対する姿勢は有名な起業家を選ぶ。そして、具体的な業務は、薬剤師の先輩をロールモデルにするという具合です。
他にも接客に関するロールモデルや、ワークライフバランスを調整する際のロールモデルなどを選ぶこともできます。すべてにおいて、誰かに決めてもらうような人生になってしまうとネガティブに考える必要はありません。
何も考えない人生にするためではなく、迷って立ち止まる時間を減らすための選択です。自分本位になりがちな判断を、第三者の立場で判断してもらうことにもなります。決して簡単ではない第三者の視点で判断するという行為が、ロールモデルを持つことによって容易にできるようになります。