患者さんの中には、長期処方を求めてくる人がいます。病院で処方薬を渡す立場の薬剤師なら、必ずと言っていいくらい耳にする患者さんからの要望の一つです。頻繁に病院に足を運ぶことの煩わしさや、感染症に感染することに対する懸念から求めてくる場合が多いです。適切に対応するためには薬の処方の上限について正確な理解が求められます。
薬には市販薬と処方薬という分け方があり、前者がドラッグストアなどでいつでも購入できる薬で、後者が医師の診断を受けた後で薬局で購入する薬です。処方薬は医師の判断によって処方量が決まります。一方、市販薬はドラッグストアで並べて売られている商品なので、制限なく購入者の希望する量を購入できるかと言えば、そうではありません。
市販薬の中には、制限のないものもありますが、販売方法や個数に制限が設けられているものもあります。たとえ患者さんが強く希望したとしても、大量購入に応じることはできません。一般的によく知られている風邪薬でも対面販売の対象になっていたり、一人に対する販売個数が決められていたりします。
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一般的な風邪薬でも個数に制限が設けられています。風をひいている状態で訪れた人が、今の風邪が治るまで使用する分と、いざという時のための常備薬としての分を二つ購入したい場合でも、二つを一人の人に販売することはできません。
理由は含まれている成分に依存性があることと、一度に大量摂取した場合のリスクです。依存性のある成分には、長期間服用を続けてしまうと、止められなくなってしまったり乱用してしまったりするリスクがあります。
容量を守っていても、長期にわたって使用を続けることは避けなければいけない成分ということです。次に大量摂取の問題ですが、低リスクの市販薬でも一度に大量摂取すると副作用のリスクが高まります。一部の若者の中に、意図的に副作用を楽しむ人がいることが問題になっています。
処方薬は医師の処方箋がないと販売できない薬なので、患者さんの意志で購入することはできません。実際に薬剤師が患者さんから長期処方を求められるのは、処方薬が多くなります。処方薬に上限が設けられているものが多く、上限を超えた使用をすると命を危険にさらすことになります。
いろんな理由で長期処方を希望する患者さんがいますが、冷静にリスクを丁寧に説明して納得してもらうことが患者さんを救うことに繋がります。