レスキュードーズは、適切で迅速な判断が求められる薬剤師の重要な業務の一つです。痛みを和らげるための投薬を行っていても、耐えられないような痛みに襲われることがあり、その際に追加的に鎮痛剤を投与して痛みを鎮めることをレスキュードーズと言います。単純なマニュアル化では対応できない慎重な判断が求められる業務です。
痛みには長時間続く持続痛と突発的に起こる突出痛があり、レスキュードーズはその両方に対して行われます。持続痛に対しては定時鎮痛剤を使用することになりますが、量と効果が正確に予測できるわけではありません。
想定していた効果がなく患者が痛みを訴える状況になれば、レスキュードーズが必要な局面です。鎮痛剤は多めに投与することができないために起こることで、決して珍しいことではありません。頻繁に起こる場合は、定時鎮痛剤の量を増やすなどの対応が必要になります。
突発痛は想定外の痛みが出ている状況で、レスキュードーズが求められる典型的な例になります。様子を見ながら適量を見極める必要があり慎重さが求められます。
薬の効果は患者によって違うので、患者の状況を判断して適量を投与することはもちろん、薬剤や剤型も適切なものを選ぶ必要があります。患者の状態によっては、投与できない薬剤もあるので安易な判断は許されません。副作用に対する注意も怠ることはできず、特に副作用が出る可能性が高い薬剤を使った場合は注意が必要です。
レスキュードーズを行った際には、次へ繋がる情報収集を行い定時鎮痛剤の増量などを含めて、今後の対応を決めていきます。
想定外の痛みが出れば、レスキュードーズで対応することになりますが、それだけでは薬剤師としてすべての責任を果たしたことにはなりません。痛みが患者に与える苦痛は肉体的なものに留まらず、精神的な不安や恐怖にも繋がります。
薬剤を追加投与して鎮めただけでは消し去ることのできない部分です。事前に丁寧な服薬指導を行って、痛みが出た時の患者の精神的な負担を緩和することに努めることが大切です。もちろん、レスキュードーズに使用できる鎮痛剤に関する情報を集め、知識を増やしておくことも忘れてはいけない大切なことで、自らを高めることと患者ケアの両輪で効果的なレスキュードーズが可能になります。
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