医療保険は薬剤師の仕事と大きな関係があります。医療保険を支えるために支払われる国民医療費も、この仕事をしている人と大きな関係がある費用です。ここでは医療保険や国民医療費とこの仕事の関係について解説します。
薬剤師の受け取る報酬は医療保険の制度によって支払われています。日本で本格的な医療保険の制度が誕生したのは1960年代のことです。それまでは、医療保険の制度は不十分なものでした。
1960年代に誕生した医療保険が画期的であったのは、全ての国民が医療保険の制度を利用することができるようになったからです。このような制度を利用すれば、所得が少ない人であっても一定額の金額を自分で負担すれば、医療サービスを利用できます。
こうした医療保険制度が誕生したことにより、国民は病気や怪我になった場合でも、すぐに医師の診療を受けることができます。医療保険の制度が整備されたことにより、日本では長生きをする高齢者も増加し、平均寿命は世界でもトップクラスになりました。
医療保険に加入していれば、医薬品の購入にも保険が利用できます。定価で買うと高額な医薬品も、保険の自己負担分だけで購入できるので、医薬品を多く服用している人にとっても医療保険は重要な制度です。
医療保険を支える国民医療費の金額は変化しています。1950年代における国民医療費は2000億円程度でした。国民医療費が増加したのは、1960年代に医療保険の制度が整備されてからです。
1960年代の中頃には、国民医療費が1950年代よりも大幅に増加しました。1970年代後半になると、国民医療費の金額は1960年代半ばの10倍以上にまで増加しました。1990年代になると国民医療費はさらに増加しています。
薬剤の調剤を仕事としている人にとっても、このような国民医療費の増加は注目しなければいけない問題です。
国民医療費の中でも、薬局で働いている薬剤師と大きな関係があるのは、薬局で調剤された医薬品のために使われる国民医療費です。2010年代の初めには、およそ6兆円程度の国民医療費が医薬品の調剤のために使用されました。
これは国民医療費全体の中でも15パーセント以上の割合です。国民医療費の中でも薬局の調剤のために必要な費用が多いのは、病気や怪我を治療するために医薬品が必要な人が多いからです。